日本最大級(約23,000人)の腸内細菌叢解析データベースを用いた研究の成果を踏まえて開発されたSYMGRAM®は、独自のアルゴリズムにより様々な疾病のリスクを網羅的に分析することが可能です。世界初・特許取得済
3名のDr.が語る腸内細菌叢の“いま”と“これから”
疾病リスクの分析手法について解説!
疾病リスク分析の対象疾病一覧
『SYMGRAM®』4つの特徴と利用する優位性
Medical Tribuneとのタイアップ企画にて、腸内細菌叢研究に造詣が深い3名の医師にインタビュー。疾病リスク分析が可能な『SYMGRAM®』の魅力と、腸内細菌叢と疾病の関連、治療や患者にもたらすメリットについて語っていただきました。(2023年4月20日発行のMedical Tribune 紙に掲載)
近年の次世代シークエンス技術の発展により、ヒト腸内細菌叢についての研究が盛んに行われるようになっています。その中でも、腸内細菌叢が宿主の健康状態に及ぼす影響について様々な研究が行われており、腸内細菌が様々な疾病に関係しているとの報告がなされています。
このため、これまでも腸内細菌を指標とした疾病の検出法や評価法の開発が試みられてきました。しかしながら、先行研究の多くは、単一の腸内細菌をバイオマーカーとして用いるものや、複数の菌を用いても、それらを独立の変数として扱っているため、1,000種類以上の多種多様な腸内細菌が相互作用しながら生息している複雑な生態系である腸内細菌叢と疾病の関連性の全体像を捉え、高い精度と再現性で疾病のリスクを推定できるものとはなっていませんでした。
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社の研究チームは、腸内細菌叢の組成データ(腸内細菌叢を構成する各腸内細菌の相対存在量)から疾病のリスクを推定するための手法を開発し、2023年1月26日付で国際学術誌『Frontiers in Microbiology』に論文が掲載されました。
論文では、女性のアトピー性皮膚炎(以下「アトピー」)を事例として、腸内細菌叢の組成データからアトピーのリスクを推定する手法を報告。
研究チームは、まず初めに、アトピーのみに罹患している日本人女性(AS)45名と健康な日本人女性(NC)321名の腸内細菌叢の組成データから、ASとNCの間で各菌属の効果量を計算し、アトピー罹患者と健康者の腸内細菌叢を特徴づける菌属を特定しました(図1)。
次に研究チームは、効果量の計算結果(図1)から特定したアトピーと関連のある腸内細菌(菌属)のうち6つの菌属の占有率(相対存在量)のデータを観測変数に用いて、2つの潜在変数(腸内細菌叢因子)で構成された構造方程式モデルを構築しました(図2)。
このモデルで設定した2つの腸内細菌叢因子の1つはアトピーの発症・増悪に関係すると仮定した因子(図2lv1)であり、この因子にはAS側の効果を示すAlistipes、Butyricimonas、Coprobacterの3菌属を割り当てました。これらの3菌属は、体内における炎症反応の亢進に関与することが報告されています(Parkeretal.,2020;Bowermanetal.,2020;Kimetal.,2019;Liuetal.,2019)。もう1つの腸内細菌叢因子は、アトピーの抑制・緩和に関係すると仮定した因子(図2lv2)であり、この因子にはNC側の効果を示すAgathobacter、Fusicatenibacter、Streptococcusの3菌属を割り当てました。これらの3菌属は、体内における炎症反応の抑制に関与していることが報告されています(Roseroetal.,2016;Jiangetal.,2022;Takeshitaetal.,2016;Kacietal.,2014;Parketal.,2020)。
この結果、適合度指数GFI=0.95、AGFI=0.85、RMSEA=0.06、lv1からアトピー罹患変数へのパス係数が0.32(p<0.01)、lv2からアトピー罹患変数へのパス係数が-0.41(p<0.01)の構造方程式モデルを構築することができました。
これらのことから、構築したモデルは、腸内細菌叢がアトピーに及ぼす影響の全体像を、体内における炎症反応の亢進に関わる腸内細菌叢因子(lv1)と炎症反応の抑制に係る腸内細菌叢因子(lv2)を設定することによって構造化(モデル化)していることが分かります。
本研究で開発された腸内細菌叢と疾病の関連性に関する構造方程式モデルと、そのモデルに基づき構築される疾病リスク推定モデルを用いた疾病リスクの推定手法により、当社の腸内細菌叢の検査・分析サービス「SYMGRAM®」では30を超える疾病のリスクを網羅的に分析することが可能です。今後、臨床現場における疾病の診断や治療・予防をサポートする新たなツールとして広く活用されることが期待されます。
消化器系疾患のみならず、循環器系、アレルギー系、神経・精神系、男性/女性特有の疾病など、網羅的に疾病のリスクを分析することができます。
健康者と疾病罹患者の疾病リスク値を算出し、その分布を示した例は下図のようになります。
疾病リスク値は、健康者(青色)では低く、疾病罹患者(赤色)では高く算出される傾向が認められます。このような疾病リスク値の分布にもとづいて、疾病別・男女別に「低リスク」「中リスク」「高リスク」の3区分が設定されています。
SYMGRAM®では、収集された実データにもとづき疾病別・男女別に構築・設定された疾病リスク推定モデルと疾病リスクの区分を用いることによって、高い精度で被検者様の疾病リスクを分析することが可能です。
被検者様の疾病リスクを分析した結果、現在罹患している疾病のリスクが高い場合、腸内細菌叢がその疾病の原因の一端となっている可能性があります。その場合は、個別に提案される食品(成分)を摂取することによって、リスクを下げる方向に腸内細菌叢が変動し、疾病の改善・緩和や再発予防につながる可能性があります。一方で、現在罹患していない疾病のリスクが高い場合は、現在の腸内細菌叢に起因してその疾病に罹患する可能性があります。このため、疾病リスク分析を活用することで、未病段階における疾病予防への取り組みや、疾病の早期発見につなげることが可能となります。
日本人の特徴を踏まえた腸内細菌叢の検査が可能
より精度の高い分析結果
臨床現場で活用可能な情報
分析結果のみならずソリューションを提示